『日本蒙昧前史』という本を読んだ。

『日本蒙昧前史』が一番面白かった。

「世の中のありとあらゆる価値が、金額で、数の多さで推し量られるようになってしまったという愚かさ、馬鹿さ加減」

「この年以降どんなものでも、家でも、職業でも、学校でも、美術品でも、食事でも、動物でも、一人の人間の一生ですら、金額の大小で表されるようになってしまったのは事実だ」

以上は、私が2月に読んだ磯崎憲一郎さんの『日本蒙昧前史』という小説から引用した文章であるが、このような文章は脳髄ががらんどうでありながらも私が今日の自称先進国日本に対して薄々感じている違和感を言語化、明確化してくれているような気がして、なんだかすっきりするというか、嬉しいというか、そんな感じのニュアンス的な気持ちにさせてくれる。

あれは確か私が大学を卒業し、ニートとして希望に満ちた人生を歩もうとしていた頃であったが、私は高校時代の友人に誘われてマルチ商法のニュースキンの自称成功者の人と接触したことがあった。

当該友人は会社の上司みたいな感じの人に誘われてよくわからないままマルチ商法の営業セミナーみたいな感じのニュアンス的な会合に時折通っており、よくわからないからお前に来て欲しいということで、ニートの私に白羽の矢が立ち、リクルートスーツに着替えて1,000円を支払い当該セミナーに参加した。

当該セミナー終了後に、私の友人の上司みたいな人が現われ、当該上司みたいな人が、お前らには特別にこのニュースキンで成功したおれの師匠みたいな人に合わせてやるでやんす、と息巻いてきた。

私と友人は、高級なのか高級ではないのかよくわからないホテルのラウンジに連れていかれ、自称ニュースキンの成功者、自称師匠みたいな凡夫に会い、きゃつは私達に1杯800円する割には特段美味しくもまずくもないコーヒーをご馳走しながら、ニュースキンのビジネスモデルについて熱く語ってくれた。

その後、別れる段になり、良いものを見せていやるということで、駐車場に連れて行かれ、フェラーリを見せられた。

友人の自称上司曰く、お前らもこの方のように成功すれば、フェラーリを買うことができようなる、お前らもこんな風になりたいだろ?とのことだったので、私は、フェラーリとかにはあんまり興味ないどすなー、と言って、別れた。

自分が本当に欲しいものが偶然高いものであればそれは仕方がないが、あの時出会った自称上司及び自称師匠は高いものであればこそそれが欲しくなる種類の凡夫なので、その種の凡夫は拝金主義者、すなわち物事を金銭的価値に置き換えなければ、その物事の価値を測ることができない類の人間で、私はその種の凡夫といると、ものすごく疲れてしまうのできゃつらとは即刻縁を切ることにした。

おかげで私も友人もマルチ商法で金持ちになるチャンスは逃したが、マルチ商法に振り回されずに済んだ。

みたいなことを書くと、私が金や金儲けが嫌いな自称聖人君子のように聞こえるかもしれないがそんなことは決してなく、私が距離を置きたいのは、この人って本当に金銭のことしか考えていないんだな、と確信させる類の人のことだ。

以上です。

P.S.

雨の日に部屋でぼさっとするの最高や。

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