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給付金10万円の使い方により突き付けられる己のすっからかんさ

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労働から自宅に戻り、ポストの中を一瞥すると、僕が根城にしている自治体から給付金の案内が来ていた。

当該案内によると、当該自治体では5月の末くらいに給付金の申請書が各世帯に郵送され、申請してから10日くらいで10万円が振り込まれるという。

僕は幸か不幸かコロナ禍において一切の変化を受けることなくこれまで通りの日常を送っているため、この10万円は僕にとって純粋な臨時収入に他ならない。

コロナ禍の影響をほとんど受けなかった無傷の人間がこの10万円でできることは、受け取りを自粛することではなく、その10万円を気持ちよく使い切ることである。

使い切れば、その10万円は誰かが溜め込んでしまわない限り、人々の手に渡り続け、社会の潤滑油として活躍してくれるはずだからだ(しかーし、巡り巡っている内に課税に次ぐ課税によってぐんぐんと安倍ちゃんに吸いとられ、桜の観賞費用となる可能性も否めないが、どちらにせよ金は循環し続ける可能性は残り続ける)。

よーし、これで金を消費する大義名分は整ったぽよ。あとはどうすれば気持ちよく10万円を使いきれるかを考えるだけでがんす。

この段階に来て僕が困るのが、これと言って金を使いたい対象がない、ということなのだけれど、そうなってくると当該10万円は貯金か積み立てNISAに回り、そうなると僕はただ金を溜め込むことしか能のない軽薄かつ浅薄な人間、時間を換金するだけの人生を送る憐れな人間、時間の使い方もわからなければ、金の使い方もわからない無教養な人間、要するにヤベー奴、ということが証明され、まいったなー、とTwitterでぼやかないといけなくなる。

そんな中、僕が大好きなアニメ『攻殻機動隊』を映画化した際の監督である押井守氏が監督した『スカイ・クロラ』の著者である森博嗣氏の『お金の減らし方』という本を読んだ。

同書には森氏のお金との付き合い方について書かれているのだけれど、これは単なるお金についての本ではなく、生き方に関する本とも言えるのだけれど、僕が覚えている限りでは、お金は自分の欲望のためにきちんと使いなさい、みたいな感じのニュアンス的なことを言っていて、その「自分の欲望」が「人に羨ましがられたい」という虚栄心や見栄を含んでいる種類の欲望であれば、それは他人中心の欲望であり、己の欲望ではない、みたいな感じのニュアンス的なことが書かれてあって、僕は思わず、せやなー、と関西人でもないのに関西弁で納得の言葉を漏らしてしまった。

上記のこと以外にも、この本には、せやなー、と思える見識が多分に含まれているので機会があれば是非とも読んで頂きたいが、それはともかく、件の10万円の使い方である。

自分が納得したことを実践しないのはバーローなのだから、この10万円を虚栄心が必ず入り込んで来る装飾品に使うのはなしだ。

となると、基本的に人目につかないもの、ということになる。

あわよくば毎日の生活に有用なものがええのー。

森先生は、きちんと自己投資をせよ、とも言っていたなー。

となると、現在使用中の煎餅布団をうち捨て、労働と快眠の無限ループを実現するべく高級マットレスでも導入しようかしらん。毎日の日課に「勉強」という活動を導入するためにがらんどうの小部屋に椅子と机でも設えようかしらん。日々の炊事がより楽しくなるように高品質な調理器具でも揃えようかしらん。

僕は熟考の末、これら三つの案を編み出し、10万円でこれら全てが実現できることをネットサーフィンと電卓をもってして確信したが、待てよ、これは果たして森先生の言う「自分の欲望」なのだろうか、これは、他人中心の虚栄的なお金の使い方はダメッ、と森先生に言われたが故に去勢され矯正された仮初の欲望なのではないのか、これは森先生に思いっ切り影響を受けた森先生中心の欲望なのではないか、としばし逡巡。

その逡巡から未だに100%は脱却できずいるが、僕の欲望がどんなものであれ、あらゆる活動(=欲望)の根幹を担う睡眠に大枚をはたいておくのは間違いないだろうとの結論に至り、煎餅布団からの脱却は近日中に実現することにした。

自分の欲望がわからない僕のような奴隷は己の充実感のためにお金をどう使えばいいのかを見定めるだけでも一苦労であーる。

P.S.

今日の一曲。

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